異文化適応のUカーブという適応4段階の考え方がある。これは、新しい環境に適応する際に、感情がどのように変化していくかを説明したものである。
適応4段階
①ハネムーン期
新しい環境それ自体が刺激的であり、不安と期待が入り混じった段階。全般に肯定的な感情。
②カルチャーショック期
①のハネムーン期と真逆の感情を持つ時期。環境や自分の不適合を責め、後悔する時期であり、心身ともに不調を感じやすく全般に否定的な感情。
③適応期
あらたな環境に徐々に適応していく時期。否定的な感情から少しづつ抜け出す。
④成熟期
適応のみならず、自らの強みの発揮等もすることにより、高いレベルで肯定的な感情を持つ。
海外赴任や新生活、転職など環境が変化すると誰でも直面するのがこの適応4段階であり、この数か月で突如、在宅勤務を開始した方々の中には②カルチャーショック期となっている方もいるだろうが、この感情自体はごく自然なものである。なぜなら今、あなたや職場の同僚、部下、関係者が精神的につらい思いをしたとして、それは自宅にいながらも構造的には(極論をいうと)海外赴任や留学・転職と似た、今までとは異なる環境に身を置いているからである。
さて、上記を踏まえ、カルチャーショック期への対応方法を以下に紹介する。これは、私が海外赴任者向けのグローバルマネジメント研修や、新入社員研修、
【外国籍社員向けオンライン研修】日本型コミュニケーション講座 Japan Onboard
で紹介しているものであるが、上述の通り構造的には同じ課題である。
※あくまでも組織論の専門家としての意見であり、医療関係者ではないのでその上で参考にされてください。
(対応方法)
1.セフルケア
今まで自分が進学、就職、転職、引っ越し等でカルチャーショック期になったことを振り返り、どのような方法で乗り越えてきたかを思い出し、行ってみる(スポーツ、人と話す、よく食べる、寝る、自分に合うやり方であればなんでも可。最近ブームのZoom飲みなどもその一環)。それぞれ自分なりの「対応方法・武器」を持っているはずである。
2.セルフケアの4分類
現在、もやもや漠然とした不安を持っている方も多いと思うが、適応は以下4つに分類できる。自身の不安がどこに該当するだろうか。できればそれぞれについて「現状→近い将来」というように時間軸も分け整理する。整理できると不安・課題の正体が明確化でき、さらには自分だけで抱え込まずエスカレーションすることができようにもなる。
・一般適応(生活面への不安等)
・対人適応(家族・同僚や友人とのコミュニケーション不足等)
・職務適応(リモートワークでの仕事の進め方への不安等)
・危機対応(新型コロナは最たるものであるが、それ以外にも地震や台風等も)
3.ソーシャルサポート
上記で述べたエスカレーションと関連するが、不安を一人で抱え込む必要は全くない。社内外、家族、さらにはネット上の見ず知らずの他人でさえ、自らの資源とすることができる。大切なのは「誰から、どんな」支援を得られるか、自らが自覚・コントロールすることである。上記の4分類も参考に、「誰から、どんな」支援を得られそうか、あらかじめ書き出しておくだけでも、いざというときに適切なエスカレーションを行うことができるようになる。
緊急事態宣言の延長がされた今、時期的にみても疲れが出やすい時期といえる。家族・同僚や部下など周囲の方と上記について話し合ってみてはいかがだろうか。